_2022.01.04_Yuto Yasuda
「選ぶ」を考える。エシカルな選択と美容室
皆さんは、たとえばモノを買う時、ご飯を食べに行く時、髪を切る時。
何を基準に選んでいますか?
見た目・値段・雰囲気・口コミなど判断する基準はたくさんあります。
よーく考え、悩み、想像し、ようやく一歩踏み出す場合もあれば、なにも考えずにパッと行動していることもあるでしょう。
今回のお話は、「選ぶ」ということ。
何気なく手に取ったモノ
美味しかったご飯
そして通っている美容室が、人や地球環境のためになっていたとしたら
とっても嬉しくなりませんか?
「選択」「選ぶ」について考えてみました。
選び方を考える。エシカル消費とは。
よく耳にするようにはなった、「エシカル」という言葉。
単語そのものは直訳すると「倫理的な」とか「道徳的な」という意味。
“倫理的・道徳的な消費”とは要するに“人や地球環境に配慮された考え方や行動”というところでしょうか。
何かを選ぶとき、何がどう影響しているのかを考え、選択する。
そんな消費のあり方をエシカル消費と呼ぶ。
「思いやりの心」や「譲り合いの精神」。
エシカルはそんな日本の良き文化をとらえ直したと考えることもできるなと思うのです。
食品やファッション、美容などのモノの背景を知り、影響を考えて選択をする。
そうすることで日々の暮らしの中で、買い物などを通して、
世界の抱えている問題の解決の一端を担うことができる。
なんて素敵なことでしょう。
美容室でのエシカルを考える。
美容室での価値の多くはヘアスタイルの仕上がり。素敵な髪型をご提供することが僕たちの仕事です。
髪を切るときのプロセスも重要。髪の扱い方、距離感、ハサミの音、手の当たり、コーム(くし)の入れ方。
施術時に感じるこれらの感覚は、意識や気配り次第で快感にも不快感にもなりえます。
心地の良い施術とはどんなだろうか。日々考えながら運営しています。
しかしながら不快感を与えずにカットすることはプロとして当たり前。
上手なカットもストレスのない施術も美容師さんとしてのベーシック。
美容室でのプラスαをどう意識するのかが重要です。
美容室には様々な体験やプロダクトがあります。
僕たちが意識を向けたのはこんなこと。
- 「使っている商材・プロダクトのルーツ」
- 「空間の心地よさ」
- 「香り」
- 「タオルの気持ち良さ」
- 「椅子の座り心地」
- 「何のためにこの美容院が存在しているか」
本質的な部分を見つめ直すことが“末長く髪を楽しめる”を掲げる美容室として必要なこと。
それらをふまえ、らふるでは
- ・使用するタオルをオーガニックコットンのものに変える
- ・またそのタオルを長く使うための工夫をする
- ・皮膚や髪、環境に対して影響の少ない施術を心がける
- ・できる限りオーガニックな製品で対応をする
- ・長く使える、飽きのこない丁寧に作られたものを選択する
- ・長く座っても疲れない椅子を用意する
- ・電力も可能な限りグリーンエネルギーにする
等の工夫をしています。
どれも「いつまでもヘアスタイルを楽しんでいただきたい」というらふるの願い・コンセプトからくるもの。
たとえば、タオルの使用量が多い美容室だからこそ選びたいオーガニックコットンのタオル。
農薬等の化学物質をつかわずに作られたオーガニックコットンのタオルを使用することが
農場ではたらく人々の健康を守り、さらに環境汚染の軽減にもつながります。
さらに化学物質を使わない健康な農地を子供たち、そのまた子供たちへと引き継いでいくことで、地球環境を守り、持続可能な未来をつくっていくことにつながります。
また、そのタオルたちをずっと使い続けるためのケアを徹底することで、
いつまでもふわふわなタオルをお客様にご提供することにつながります。
電力を多く使う美容室だからこそグリーンエネルギーに変える。
カラー剤やスタイリング剤などはできる限りオーガニックなものを選び
お肌にも環境にも負荷を与えないようにする。
あげ始めたらキリのない小さなこだわりによって、
らふるで髪を切ることが自然とエシカルな消費になる。
髪を切ることで、知らずともエシカルな消費を実現できる。
今後このような美容室が増えていくことでオーガニックやエシカル、サスティナブルが美容室では当たり前になっていく。
そんな美容業界ってとても良いと思うし、もっともっと美容室の(美容師さんの)魅力や価値が上がっていくのではと思います。
プラスチック問題から考える「つくる責任」と「選ぶ責任」。
私たちの生活において、切っても切れない関係にあるプラスチック。その多様性から身の回りのさまざまなものに使われています。
プラスチック製品というと従来は消耗品という印象があり、昨今では細かく砕けたプラスチックのゴミ(マイクロプラスチック)が深刻な問題となっています。近い将来、海中のプラスチックの総量が魚の総量を超える(!)とまで言われています。
マイバックやマイボトルの持参、紙素材のストローの使用など不要なプラスチックの使用は減らしたいところ。とはいえ私たちの生活においてプラスチックはどうしても必要不可欠なもの。
重要なのは
“問題視されたからプラスチックを使わない”ということではなく
“どんなものをどう使うか”。
たとえば耐久性のあるプラスチックを使い愛着の湧くような魅力的な商品をつくる。そしてそれを購入してもらう。いわば“末長く使いたい(使える)と思えるものづくり”。
そんな取り組みこそが環境問題の解決の第一歩となりうるのではないでしょうか。
消費者側も、「安いから」とか「とりあえずこれでいいや」で買うのを控え、ずっと共にしたい商品を選ぶこと=すなわち“選ぶ責任”があります。
これはヘアデザインにもいえること。極論をいえば髪は切らなくても生きていけるし、すべての美容室が無くなってしまえば地球環境は良くなるかもしれない。
でもそれではつまらないしなんだか悲しい。美容師として、根底にお洒落を楽しみたい(楽しんでいただきたい)という願いがあるしその思いは捨ててはいけない。
愛着の湧く、ずっと続けていきたいヘアデザインは大切にケアをしたくなります。傷ませたくないし、綺麗に保ちたい。そんなヘアデザインを可能な限り地球環境に配慮しながらご提案する。
そんな末長く楽しめる髪を「つくる責任」がわれわれ美容師にはあると思うのです。
「お客様目線になって仕事をしよう。」
駆け出しの頃に師匠から何度となく言われ、指導する立場になった今も心に留めている言葉です。
お客様目線だけでなく、様々なモノ・コトの目線になって考え、選び、行動する。
お客様が、時代が、地球がなにを求めているか。そのためになにが必要であるか、なにが不必要か。また、それに見合った技術提供ができているか。
日々忙しく美容師として生きているとつい忘れがちなことです。
地球環境や来てくださるお客様、その他らふるに関わっているすべてのモノ・コトに対して思いやり・おもてなしの精神をもつ。末長くお付き合いできる関係性をつくる。そんな“選び方を選ぶ”。
そのうえでとびきりお洒落なヘアスタイルをご提供し、体感していただきたい。そう思います。
そんな想いで成り立つらふるを“末長く”よろしくお願いいたします。