_2019.08.22_Takuro Nakamura
美容室におけるチームワークとはどんなもの?
ここ最近、チームやリーダーについての本をよく読むようになりました。
創業3年目だからなのか、スタッフが4人になったからなのか、今後のビジョンを見据えると避けることのできない道に入ったからなのか。
不安だから読むというよりも、より良い状態で今後の展開に臨みたいからという気持ちが正しいかもしれない。
僕は、美容に従事し11年が経ちます。
僕が独立する前まで抱いていたこの業界のリーダーやチームのイメージは
- ・後輩や部下は先輩や上司に教えを請い、技術や接客のイロハを学び命令や指示にしっかりと従う。
- ・先輩や上司の言ったことは絶対で、ヒエラルキー色が強い。
- ・たとえ対象物が「白」であったとしても「黒」と言われたら黒と思わなくてはならないTHE 体育会系。
- ・断ることは許されない、全てに「はい」
- ・そして「個」の強さが非常に際立った世界。
カリスマ性に富んだリーダーならば、独断でもその牽引力や影響力でチームにスピード感を与え、結果を出すまでが早く、最短で到達していく事が可能かもしれません。
しかし、あいにく中村はカリスマ性や強い牽引力はもっていない(仮にもっていたとしても使い方がわからない)。ポジティブではありながら慎重な部分もあるので、自分自身の個の力に頼りすぎることはせず、なるべくみんなで話し合い、正解(普遍的な解)に近い答えを出して進みたい。
自分だけのことならどんな結果であれ、自業自得でいいのでしょうけれど(自分の家族のことでさえ不完全なのに)スタッフやその家族のこと全てに目をむけて、その全てを満足させるような正しい答えをたった一人で出せるほど器用ではありせん。そもそも、そんなことを考え出すと独断強引で独裁的な判断はできないし、僕自身のエゴだけで中途半端な介入はしたくない。
できないことはできないと意思表示することもリーダーの責任なのかもしれないと思うのです。
なるべくスタッフみんなが納得する形で、成長を続けていきたい。かつ正解率・成功率を高めていきたい。
その方法を考えた時、僕一人の頭を回転させるよりも、スタッフそれぞれが「自分のこと」として、自律した行動を取れるよう環境を整えて、相互に補い合える関係性が必要だなと思ったのです。
そのためには単なる寄せ集めよりは、良いチームとして存在できた方がいいでしょう?
でもそれって、どうしたらできるのでしょう。
そして、一緒に働いてくれているスタッフたちはどう思っているのでしょうか。
”チーム…ある目的のために協力して行動するグループ。 組。スポーツや共同作業についていわれる。”
個の力が重要視される時代だからこそ、
個が輝けるチームのあり方が大切。
このタイトルは、本を読んだ中でそうだなぁって思ったフレーズです。
美容室は一人のお客様をスタイリストが担当をし、その後指名を貰います。
例えば、中村指名でご来店されるお客様には中村が責任を持って。
安田指名なら安田が。
成田なら成田が。
アシスタントがいるサロンであればアシスタントにサポートをしてもらい円滑なサロン運営を行います。
らふるでは、マンツーマンに近い形で運営をしていくことで予約の重なり過ぎの防止となり、お客様と向き合いやすくなります。けっして個人プレーに走りたいからではないのです。
しかし、マンツーマンに近い状態だからこそ自分の担当以外のお客様に対して「他人のお客さん」と捉えてしまいがち。他のスタイリストのお客様をそのように捉えてしまうと、完全に個人プレーとなり、それぞれが孤立します。
単なる「個」の寄せ集めとなり、ギスギスした雰囲気が生まれたりお店としての魅力は薄いものになってしまう。
単なる寄せ集めとなって「個」の力に頼りすぎてしまうことによるリスクは高いと思います。
スタッフが独立をしたり、辞めていくとお客さんがごっそり抜けてしまう。そのため、お店側は独立を快く受け入れられず、囲い込んでしまったり、中には妨害をしてしまうケースも聞きます。
(独立した身からすると非常に悲しい。できれば快く送り出したいし、いつでも戻ってこられるような環境でありたい。)
かといって、組織に依存することしかできないスタッフばかりだったり、自主的に様々判断ができないスタッフしかいなかったら、それはそれで美容室としての魅力は薄い。
この問題を解決していく方法は、組織に属する「個」が存分に輝ける環境でありながら、組織としての魅力を高め、チームワークによって、スタッフの入れ替わりがあっても影響を受けにくい強さを持つしかないと思います。
お客様から指名されたわけではないスタッフは、介入しすぎてはいけない部分はありますが、それぞれのスタッフが、他のスタッフの動きを観察し、次の動きを予測していれば十分なフォローはできると思うのです。
少しでもフォローがあると作業効率は格段上がりますし、直接関係のないところでのフォローも非常に助かります。
結果、担当美容師は集中したいところに集中できるのでクオリティも高まり、お客さまには時間的な負担をかけずにすみます。
これは個人プレーだけを意識したのではできないことです。
いきなり100点を求めあってもうまくはいかないけれど、徐々にフィットさせていくことはできる。
そのためにはコミュニケーションが欠かせません。感謝を伝えたり、挨拶を交わしたり、雑談したり。そういう当たり前の部分からが大切です。
と、僕はこう思っているけれど、スタッフたちはどう思っているのだろう。
美容室におけるチームワークとはどんなもの?
先日のミーティングで
「美容室の運営においてチームワークって大切ですか?」
と聞くと皆「必要だ」と言いました。
良いチームである美容室は下記のものがあると思っているようです。
- ・お客さんを共有できている…お客さんの存在をスタッフみんなが知っている。ある程度の趣味や趣向を知っている。どんなスタイルが多いのか、どのような施術を行っているのか知っているからこそできる気配りってあるもんね。
- ・他のスタッフの状況を把握している…座席やシャンプー台には限りがあるので、使用したいタイミングでブッキングしないように互いに意識し各自調整するって大切だし、みんなが意識すると些細なことにも気がつけて円滑になるよね。それって良いチームならではだよね。
- ・アイコンタクトで伝わる・遠慮なくコミュニケーションが取れる…お客さんとの会話が盛り上がっていても、どのスタッフも目配せ一つで欲しいものややってほしいことをサポートしてあげられたり、してもらえると非常に助かるよね。わからないこととか、改善していきたいことを立場関係なく言い合えるのは良いチームだよね。
出た意見はこんな感じでした。
みんなそれぞれ「良いチーム」のイメージを持っているし、なにより「良いチーム」にして行きたいと感じているようです。(安心した。笑)
みんなが思ってるなら話は早い。
みんながそう思っているならやっていこうよって話です。
自分の意見や感じたこと、考えをみんな持っているのですが、共有しにくい部分があります。
たとえ全員が共通して持っている想いであっても伝えなければ始まらない。
の中で登場するチームの成長段階によると、
僕らは今、新しい仲間を迎え「フォーミング(形成期)」と「ストーミング(試行錯誤期)」の間を
行ったり来たりの状態。
これまでだったら、なかなかフィットしないことに焦りや苛立ちを感じと思いますが、通過点なのだと認識ができることで大きな安心感を得ることができました。
現在のチーム段階をスタッフと共有することで、前へ進む推進力になってくれたように思います。
チームの発達段階であることがわかれば自然と工夫が生まれ、次のステージに上がっていくことができます。
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最後に
独立してからというもの、どのような経営指針がラフルに合っているのかについて考えを巡らせていますがやはり「スピード感を求める店ではない。」と思うんです。
スピードを求めることで置いていかれる感覚を抱くスタッフも出てくるでしょうし、不安が生まれます。(遅すぎても不安でしょうけれど。)
流行を先取りし、どこよりも早く何かを生み出すことよりも、「ものごとの本質を見つめ、安定した点数を取りつつ、あせらずクオリティを高めていく。」成長の仕方がラフルだと思います。
末長く楽しめる髪を提供し続けていくためには、スタッフにリーダーのバトンを託さなくてはならない日が来る。
そんな時が来てから焦って引き継ぐよりは今から。と意識してしまうのが僕の性分。
各自が自律し自分ごととして考えていくと、オーナーである僕が考える正解とスタッフが思う正解が異なることは、往往にしてあります。
それゆえに衝突が生まれることもあるでしょうし、不満が出ることもある。
だからと言ってそれらを避けていたのでは進めない。
視点の違いが導き出す答えを変える。
これを意識して、双方がどのような視点からどのような価値観で導き出したのかをまずは知ることが何より大切だと思うのです。
良いチーム。
なれたら良いなぁ。