_2018.10.17_Takuro Nakamura
何度でも。いつまでも。ココロが踊る。|憧れだったMaison Margiela エルボーパッチカーディガン
私たちの美容室 Laughful(らふる)
そのコンセプトは「末長く楽しめる髪をあなたに」
目指すは創業100年。
100年以上続けていくには、お客様にとっても、お店にとっても、そして私たちが住まうこの地球にとっても
良いものでなくてはならない。
一生涯お洒落を楽しみ続けるためには何ができるかを常に問い、地球と人に優しく
それでいて日々が楽しくなるような髪をご提供することを「核」にサロンを運営しています。
ふっと視野を広げてみると
この世界には、いつまでも楽しめる、または楽しみたいと想わせてくれる魅力的なモノ、コト、トコロがあります。
- 長く使いたい
- 何度も通いたい
- 何度でも見たい
各個人どんなものに魅力を感じ
何故末長く楽しみたいと思うのか。その解釈は様々。
Laughfulスタッフが、末長く楽しみたいと思う魅力溢れるモノ、コト、トコロを勝手に紹介するシリーズです。
『何度でも。いつまでも。ココロが踊る。』
そんなモノ、コト、トコロが見つかるきっかけになったら嬉しいです。
________________________________________________
憧れだったMaison Margiela 14 エルボーパッチカーディガン
長く使いたいと思うものには、作り手の魂のようなものを感じます。
たとえ機械化が進んでも、人の頭でデザインされ、試作され、修正され、製品化していく段階でこもって行くものだと思っています。
その作り手の想いに惹きつけられ、魅了されるから、敬意を持って可能な限り長い間使いたいなと思うのです。
中村は今回、いくつかある長く使いたいモノの中からMaison Margielaのエルボーパッチカーディガンをご紹介したいと思います。
まずはブランドの概要を。。
ベルギー人 Martin Margiela が1988にパリに創設したブランド 【Maison margiela】
マスキュリン(男性らしさ)とフェミニン(女性らしさ)の両側面を用いて、 多くの場合、2つのジェンダーを融合させながら、 Maison Margielaはメンズウェアとレディースウェアのシルエットを脱構築、再構想、再定義する知的なアプローチを行っているブランドです。
現在、マルジェラの服や小物には、通称「カレンダータグ」とも呼ばれる0~23までの数字が明記された白地の布が縫い付けられており、このタグからコレクションラインを読み取ることが可能となっている。この表記方法は、メンズラインがコレクションに加わった1999年頃から採用されている。レディースコレクションのみの時は現在のコレクション「1」同様に、何も書かれていない白い布が縫い付けられているだけであった。数字が表す一覧は下記の通り。
0 – 手仕事により、フォルムをつくり直した女性のための服
0 10 – 手仕事により、フォルムをつくり直した男性のための服
1 – 女性のためのコレクション(ラベルは無地で白)
4 – 女性のためのワードローブ
3 – フレグランスのコレクション
8 – アイウェアのコレクション
10 – 男性のためのコレクション
11 – 女性と男性のためのアクセサリーコレクション
12 – ファインジュエリーのコレクション
13 – オブジェ、または出版物
14 – 男性のためのワードローブ
22 – 女性と男性のための靴のコレクション
MM6 – ♀のための服デザインの方向性としては「反モード」を掲げており、なかでも軍服のリメイク品や中古ジーンズに白ペンキのペイント等の作品は「ポペリズム」(貧困者風)と呼ばれた。それまでの煌びやかで優雅な雰囲気を持つ「モード」とは対極のコレクションとして「デストロイコレクション」とも呼ばれ、以降マルジェラの代名詞ともなった。
2002年に同ブランドは大手企業に買収をされ、2008年にはMargiela氏は実質引退していたと言います。
デザインチームは同氏の意思を継ぎ、彼が思いつくであろうデザインを伝統と誇りを守りながらコレクションで発表していました。
過去の名作と呼ばれた作品も少しづつ復興をさせる等、マルジェラのファンを魅了する作品が続く中、2015年にメゾンとしてデザイナー不在を続けるわけにはいかず、ジョンガリアーノをデザイナーとして迎え入れる事になります。そして、メゾンマルタンマルジェラはメゾンマルジェラとしてブランドネームを変更し、現在の形となっています。
(pinterestより)
創業から30年もの間、第一線で高い評価を受け、世界中のマルジェラファンに支持されている理由は、直向きに自身のブランドの定義を大切にし、ブレることなく表現し続けていたからかもしれません。古着を生地に使いリメイクしたり、真新しいものを古着加工してみたり、全く別の洋服を転写してみたり。様々なチャレンジをしつつ、文字通り「脱構築、再構想、再定義でジェンダーレスな洋服」を作り続けていました。
創設者であるmargila氏が実質引退している今、ジョン・ガリアーノ氏がクリエイティブ・ディレクターに就任しても、その核はぶれていないように感じます。(いちファンの意見ですがね。)
創業100年を達成するには、継承される想いがなくては成り立ちませんし、中村以外のスタッフが引き継いでも同じような定義を持って実行し続けられなくてはなりません。それに、継承するに値するお店であらねばなりません。是非とも学びたいところです。
【Maison margiela】と僕は同い年。
【Maison margiela】は30周年、中村は三十路。
初めての出会いは、中村16歳の時。
色気付き始め、モテたい一心の青春時代。
オシャレをすることに目覚めました。
・レディオヘッドのボーカル、トムヨーク
・元日本代表サッカー選手、中田英寿さん
・ゆとり世代にとてもつなく大きな影響を与えたであろうファッションスナップの常連読者モデル。
etc…
(thom yorke)
この人洒落てるなー。と感じた人が身につけていたのが同ブランド。
サイコロがぶら下がったネックレスや、ハの字型にファスナーのついたレザージャケット、AIDS撲滅のために作られたメッセージTシャツ、足袋の形をしたブーツ。モードのような感じでなく、カジュアルでもなく、グランジのようだけれど上品で、一見矛盾しているコトを矛盾していて良いと想わせてしまうような、なんとも表現しがたい「マルジェラ」なアイテムの数々。
デザイン性の強いアイテムも数多く、なかなか理解しがたいデザインのものもあるこのブランド。(何処に着ていくんだ的な。)
当時は好きなのか、嫌いなのかも判断できないくらいのとてつもない距離感があり、絶対に手を出してはならない気がしていましたが、如何にもこうにも気になって仕方がなかった。今思えば好きだったんでしょうね。笑
強く惹かれたアイテムの一つがエルボーパッチカーディガン。
僕の中で、ファッション上級者のための小難しいイメージであったマルジェラの洋服の中で、唯一着ることができそうで、着ただけでオシャレさんから褒めてもらえる初心者にもってこいな感じがしたのを覚えています。笑
とはいえ、高校生だった僕にとって、地元には売っておらず、値も張りますしなかなか手を出す事の出来ない大きな壁でした。
欲しくて欲しくて堪らなかったんだけれど、憧れが強くなるほどハードルを上げてしまうものです。
これまでたくさんの洋服を買っているので、どこかのタイミングで買う事もできたでしょうに買うまでの勇気を持てず、中村【三十路 Anniversary】と言うことで14年もの歳月を経て、ようやく購入に到りました。
いくつか種類のあるエルボーパッチカーディガンのなかで、僕の選んだコットン60%ウール40%の黒いカーディガンは柔らかく肌触りが良い上、ストンとしたシルエットで、すっきりサラり。1年を通して着られます。そしてカジュアルにもドレッシーにも、シーンを選びません。
憧れだったものに袖を通し、「これを買えるようになるなんて、ここまで頑張って来たんだなー。」と少し自分を褒めてあげる(認めてあげる)きっかけになりました。(みなさんも頑張ったご褒美ありますよね?)やっとの想いで手に入れた憧れの逸品は、何度袖を通しても気合が入ります。
このまま後10年は気合を入れられそう。
このブランドの引き込む魅力の素である「定義にしっかりと沿うブランド力」に心底敬服します。
なぜ惹かれたのか、いつのまにやらすっかりファンになってしまっていた自分を分析すると、デザインはもちろん、これまでブレずに直向きに自身のブランドの定義と向き合って来たその一貫性が魅力的なのだと思います。
一過性のファッションではなく普遍的なスタイルといいますか。そんな感じ。
何をテーマにやっているんだろうと好奇心をくすぐるデザイン性。
様々なデザインを発表しつつも変わらない軸。
好奇心をくすぐるデザインと軸を守り続けるバランス感覚。
人気の高いアイテムであり売り上げも立つから、定番商品として出しているということもあるでしょう。
でも、一ファンの目線に立った時に、いつも用意されている安心感は、ありがたくすら感じるのです。
新たな表現やチャレンジによってガラリと変えることの新鮮さも必要ですが、普遍的でいつまでも変わらない魅力も必要です。
そういった判断の難しさと言うのは経営をして、日々まじまじと感じます。
意固地になってポリシーを守り続けても、それはただの頑固で時代においていかれるかもしれない。
時代を追いすぎても、軸がなくなり不安定でお客さんを戸惑わせてしまうかもしれない。
そのバランスがなんとも大切で、時にはどこか妥協的な部分で折り合いをつけていかないとならないかもしれない。
それでも、歩みを止めずに向き合い続けることがかっこよくて、魅力がにじみ出る。
一過性のものではなく、普遍的で、飽きが来ず、いつまでも楽しめて何度も着たくなる魅力。
私たちの仕事ならば、何度も来たくなる。ですね。
そんな魅力、いいなぁ。
自分たちが、自分たちにとっての1番のファンでないと出せないのがこの魅力。
私たちLaughfulも他にはない魅力を出せるように、そして出し続けられるように、いつまでも直向きに自分たちの定義と向き合って誠実に歩んで行きたいものです。