_2020.02.09_Takuro Nakamura
誰も教えてくれない、シャンプーの正しい知識。
この記事は、こんな人のための記事です。
(こちらの記事はnoteでも掲載しています。)
- (1)最近、髪質の低下が気になる。
- (2)ヘアケアで、髪や頭皮を痛めてないか不安。
- (3)極力、洗浄力の弱いシャンプーを使いたい。
- (4)シャンプーの無駄遣いを減らしたい。
- (5)自分にあったシャンプーがわからない。
シャンプーって、誰かに習ったことはありますか?
銭湯(正確には、高円寺の小杉湯に)にすっかりハマった僕は、美容師という職業柄、他のお客さんがシャンプーしている姿を観察してしまう癖がある。
人それぞれが様々な洗い方をしている。その時、ふと思った。
「みんな、シャンプーの仕方って、誰かに習ったことはあるのかな?」
僕のいる美容室『らふる』では、髪型の相談だけでなく、お客様から髪に関するお悩み相談をもらうことが多々ある。飲みに行った先の店主や常連客からも、私が美容師だとわかると、同じような相談を多くもらう。
「最近、髪質が悪い」
「頭皮の臭いが気になる」
「頭が痒い」
「フケが出る」
「オイリーな感じがする」
聞くとみんな、毎日シャンプーは必ずしているし、トリートメントもしっかりしている人がほとんど。
シャンプーがあっていないのかな?
洗い方が間違っているのかな?
ひょっとしたら洗い過ぎ?
いやいや、洗いきれていないのか?
どっちなの…?
はて、正しいシャンプーとはなんだろう…?
僕自身も長い期間、臭いや地肌の痒みが気になっていた。頭がクサイのは嫌だから一生懸命ゴシゴシ洗ってみたり、乾燥してフケが出るからシャンプーを変えてみたり、シャンプーを2日に1回にしてみたり、逆に1日に2回洗ってみたり…。いろいろと試したが、なかなか上手くいかない。
美容師のアシスタント時代に、心地よいシャンプーの練習は死ぬほど行ったが、「正しい洗い方」については誰からも習った記憶がない。実際、プロの卵でもそんな感じなので、一般の方は全くと言っていいほど、ご存知ないだろう。
でも、髪は人間にとって大切な身体の一部。髪の状態がいいと、見た目だけでなく、心も明るくなる。
そこで、今回、僕が美容師として働くなかでわかった「正しいシャンプーの知識」を伝えたい。
1. 頭皮ケアの第一歩はブラッシングから
シャンプーをする前に行ってもらいたいのが、ブラッシングだ。
ブラッシングを行なっている方は非常に少ない。
ブラッシングは「髪をとかすもの」と考えられがちだが、ストレス等で硬くこわばった頭皮に適度な刺激と圧を与える「頭皮マッサージ」としての効果がある。
だから、髪が短い人でも行うことのメリットは大きい。男性にもおすすめだ。
まず毛先の絡まりを取ってから、生え際から地肌に沿うように頭頂部に向かってブラシを通してほしい。
「前髪→側頭部→うなじ」
この順で行い、どの行程も必ず頭頂部に向かって行っていこう。
心地よさを感じる強さで行うと頭皮がほぐれた感覚をおぼえる。痛みを感じるほど強くブラッシングするのはNGですよ。正しいブラッシングを続けていくと、次のような効果が見込める。
- ・頭皮に優しい刺激を与えることにより血行を良くする
- ・皮脂の分泌を促し、髪に行き渡らせる
- ・指では浮き上がらない皮脂汚れを浮かし、シャンプーの効果を高める
ブラッシングの主な目的は髪についたホコリや自然に抜けた髪、古くなった角質を取り除くこと。つまり「頭皮を適度に刺激して汚れを浮かせて、毛根部の栄養分を髪全体に行き渡らせる」ことが大きな目的になる。
ちなみに、僕が愛用しているヘアブラシはこちら
センシティブブリッスルダーク・ルビー | 《公式》英国伝統の最高級猪毛ヘアブラシ・メイソンピアソン
www.masonpearson.jp
2.予洗いを制するものが綺麗な頭皮を制す
ブラッシングを終えたなら、いよいよお湯での「予洗い(よあらい)」。
ポイントは「髪は濡らすのではなく、流すこと。」
予洗いとは、シャンプーをする前に、髪をお湯でジャブジャブ洗うこと。
美容室でも、シャンプーをする前にお湯でしっかり洗いますよね?
食器を洗う時もそうだけど、予洗いが甘いと汚れが邪魔をしてシャンプーがなかなか泡立たない。そのため、シャンプーを多く手に取ってしまう。シャンプーのつけすぎから流し残しが出てきて、それが酸化し、ニオイが、痒みが……と、負の連鎖がはじまる。
予洗いは、しっかり行ってほしいな。「予洗いを制するものが、綺麗な頭皮を制す。」を合言葉に行おう。
2分程度の時間をかけてシャンプーをするイメージで隅から隅までジャブジャブと流していく。しっかりと丁寧に。お湯でしっかりと流せば7〜8割の汚れは落ちていくのです。
長い髪は水を吸って重くなり、流しにくいので頭を左右に傾けたり、前後に倒したりしながら行うと流しやすい。(面倒だという方は、前後だけでもいいので傾けてくださいね。笑)
しっかり予洗いができればシャンプーの無駄遣いも減り、環境にも、お財布にも、嬉しいはず。
…ところで、お湯の温度には気をつけてますか?
寒くなってくるとついつい高い温度に設定しがち。お客様の中には45℃という強者もいた。笑
望ましい温度は、38℃~40℃。
皮脂が溶け出るのは41℃以上。高い温度のお湯は、皮脂を取りさり乾燥する。乾燥すると皮脂を出そうと体が頑張り過剰分泌の原因となってしまう。
ちなみに、高い温度のシャワーはヘアカラーの色持ちを悪くする。長持ちさせたい場合も上記の温度が望ましいので覚えておいてくださいね!
3.シャンプーは、くるくるマッサージする感覚で!
さあ、シャンプーを始めよう。
手に取るシャンプーは以下の量が目安です。
- ・ショート、半プッシュ(2mlくらい)
- ・ミディアム、ワンプッシュ(4mlくらい)
- ・ロング、ツープッシュ(8mlくらい)
※もし足りなければ半プッシュずつ足しましょう。
まず、手に取ったシャンプーを頭全体に馴染ませ、空気と水を含ませるようなイメージで泡立てる。(この時、泡が重い感じがしたら少し水分を足してあげると泡立ちやすいでしょう。)
なるべく上を向いて、指の腹を使ってつむじに向かって軽く引き上げるように、くるくるマッサージする感覚で洗っていこう。
また爪は立てずに洗うのが大事です!
頭皮を動かすように、満遍なく。
特に耳の上にある筋肉をほぐすようにシャンプーをしてあげると気持ちが良く、血行も促進されて溜まりやすい老廃物もリンパに沿って流れてくれる。
ゴシゴシ擦るように洗い過ぎると、地肌と髪に対しての負担が大きくなってしまい、抜け毛切れ毛の原因になりますのでご注意を。
4.泡がなくなったら終わりじゃないんだぜ!
さて、シャンプーはここからが本当に重要です!
予洗い同様、髪を洗い流すことを制するものが、綺麗な頭皮を制すのです(本日、2回目)。
38℃~40℃の温度で、2分以上優しく隅から隅までジャブジャブと流しましょう。流し方は予洗いと同じように、よーく流してください。
シャンプーが残っていると痒み、肌荒れ、嫌な匂い、抜け毛の原因になってしまう。
また、洗浄成分の流し残しによって長時間洗浄剤にさらされることによってタンパク変性が起こることで、肌のバリア機能(セラミド)も低下していく。肌のバリア機能の低下は様々なアレルギーを引き起こす可能性も高めてしまう。
「流しすぎかな?」
そう感じるくらい流してほしい。何度でも言うが、髪を洗い流すことを制するものが、綺麗な頭皮を制す。
5.吸水性の高いタオルで、ポンポンと軽く叩く!
いよいよ仕上げ。タオルドライの出番だ!
タオルを手に取り、爪を立てるイメージで、ゴシゴシではなく、撫でるようにサワサワっと頭皮を優しく拭いていく。
毛先はゴシゴシ擦らず、タオルに水分を吸ってもらうようなイメージで、優しく抑えて水分を取っていこう。ポンポン軽く叩くのもオススメ。
そして、この時に、吸水性の高いタオルを使うことが望ましい。
オススメは、やはりIKEUCHI ORGANIC。
どの製品も吸水性に優れている上、長く使い続けることができる。
その後は、ドライヤーで乾かそう。
髪の毛や根元が湿ったままにしていると雑菌が発生し、様々なトラブルの原因につながってしまう。また、髪が濡れたままの状態で寝てしまうと髪のダメージにもつながる。
ドライヤーで乾かすことで、キューティクルを閉じ、枕との摩擦を小さくしてあげよう。ただし、ドライヤーの近づけ過ぎには気をつけよう。
最後に:毎日のヘアケアが楽しくなりますように!
正しくシャンプーをすれば、洗浄力の強いシャンプーは必要がなくなり、洗浄力の弱いもので十分綺麗になるはずです。
言ってしまえば、シャンプーはあくまでも補助的なもの。
どんなシャンプーを使うかも大切ですが、まずは、正しいシャンプー方法を実践するほうが大切だと思います。
特に、子育て中のママさんは、しっかりシャンプーをすることは困難ですが、シャンプー後の流しだけでも念入りに行うと違うはず。
シャンプーはヒンズー語の「chaampoo(押す)」という言葉から由来しているといいます。
「ゴシゴシこする」というよりもマッサージ。髪を洗うというよりも、頭皮を洗うといった意識が必要です。正しくシャンプーをして、バリア機能を守り、健康な頭皮を維持すると、綺麗な肌と髪を手に入れられます。
是非お試しください。
毎日のヘアケアが楽しくなりますように✨
編集 : 井手 桂司
イラスト : 塩谷 歩波