_2020.01.28_Yuto Yasuda
カラーで頭皮がピリピリ痛い|これってアレルギー?
印象や気分を変えたい時、白髪が気になり始めた時。
美容院や自宅で気軽にできるカラーリングは、お洒落の幅もグンと広がる魔法のような施術。
しかしヘアカラーをすることが当たり前になった今、カラーリングに伴う痛みやピリピリとした刺激を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
実は、消費者安全調査委員会が、2015年10月23日「毛染めによる皮膚障害」に関する事故等原因調査報告書を公表し注意喚起を促しているほど、ヘアカラーがしみたり、それが原因でかぶれたりする方が増えています。
カラーリング時に刺激を感じることがある方・ノンジアミンカラーをご希望の方・お肌が弱く心配な方はぜひ一度読んでいただきたい。
その刺激、アレルギー?? カラー剤に含まれるジアミン染料とは。
まだまだ聞きなれないであろう「ジアミン染料」。ジアミン染料は多くのカラー剤の中に含まれています。ジアミンにも様々な種類がありますが、その中の一つである“パラフェニレンジアミン”は染毛剤の中で現在最も多く使用されている酸化型の永久染毛剤の主成分。色調が豊富で染毛力に優れていることから頻用されています。赤・青・黄色を濃く入れることができ、繊細な色〜ビビッドな色まで出せるほど表現力にも優れています。
しかしながら、その“パラフェニレンジアミン”はアレルギーリスクが非常に高く、ジアミンアレルギーを引き起こす原因の大半がパラフェニレンジアミンであるとも言われています。
すでにフィンランドでは1991年にパラフェニレンジアミンの一般向け使用が禁止され、今多くの国ではジアミンの中の一部使用禁止を伝えています。
ジアミン自体の毒性より、そのアレルギーリスクが懸念されているジアミン染料。
初めていらっしゃるお客様からよくお問い合わせいただくことがあります。
それは「今までカラー時にピリピリ痛かった経験があって心配。これってジアミンのアレルギーなの?」ということ。
実はカラー時の刺激やかぶれ、ピリピリ感はすべてジアミンアレルギーが原因だ、というわけではないのです。
※Laughfulで使用しているオーガニックカラーはジアミンがベースになっているカラー剤ですが、パラフェニレンジアミンは使用しておりません。(ジアミンアレルギーになってしまうリスクは大幅に抑えられています。)
カラーの刺激の原因・かぶれる原因。
カラーによって引き起こされる皮膚炎(かぶれ)は大きく分けて2つ。
【ピリピリした刺激を伴ったあとすぐに起こる皮膚炎】
カラー塗布または放置時にピリピリ痛みを感じたりヒリヒリと熱く感じたり。経験したことがある方も多いかと思います。これはジアミンアレルギーではなくカラー剤そのものの刺激による「接触性の皮膚炎」。一般的に「カラーがしみる」と表現されるものです。
これはヘアカラーの中に含まれる“過酸化水素”が主な原因。1剤に含まれるアルカリ剤と2剤の過酸化水素が反応する際に起こる反応と、phの変動による刺激がピリピリした痛みを引き起こします。
また、頭皮に傷がある場合や日焼け、寝不足やストレスが原因で頭皮が荒れている場合もピリピリ感を感じやすいです。
[対策]
- ・ゼロ塗布を行い、地肌につかないようにカラーする。
- ・刺激の少ないカラー剤を選ぶ
- ・保護剤を塗布して頭皮を守る
- ・カラーを行う前日や直前にシャンプーをしない
- ・生活習慣を整え、疲れを溜めない(しっかりと睡眠時間を取る)
カラーがしみやすいこと、お肌が敏感であることなどを担当の美容師さんに伝え、上記の対策を取ってもらうことが必要です。
保護剤は椿油や、ホホバオイルなどの植物性のオイルでも一定の効果は得られます。
【1〜2日経ったのちに痒みを伴いながら起こる皮膚炎】
カラー時には特に異常がなく、痛みも感じなかった。しかし数日後に痒みや腫れ等の異常が見られた場合、「ジアミン染料によるアレルギー性皮膚炎」の可能性があります。
カラーの使用を直ちに中止し、医師の診断を受けましょう。
特に頭皮だけでなく、耳や顔、首など直接カラーが触れていない部分に症状がでることがあります。
人の体には、外から侵入する異物から体を守る免疫機能が備わっています。
本来は病気の原因となる細菌やウイルスなどを排除するために機能しますが、時として体に害のない花粉やハウスダスト、食品などに過剰に反応してしまい、ヒスタミンという化学物質が大量に分泌され、アレルギー反応を起こします。
今回の場合、先述した“ジアミン染料”によってアレルギー反応が起き、皮膚炎を引き起こしていると考えられます。
カラー剤(の中のジアミン)に触れた部分やその周囲に、かゆみや痛み、赤み、腫れといった症状が現れます。接触してから、1~2日後に症状が発症し、3~4日程度でピークを迎えるのが一般的です。我慢して無理に続けてしまうと呼吸困難や意識不明など、重篤な症状を引き起こすことがあるため絶対にやめましょう。
[対策]
- ・カラーをやめる
- ・ノンジアミンカラーやヘアマニキュアで代用する
一度ジアミンアレルギーの反応が起きてしまうと対策もできず、ジアミン入りのカラーリングをやめていくしかありません。発症させないためには、とにかくアレルゲンであるジアミン(特にパラフェニレンジアミン)を避けることが大切です。
とはいえアレルギーの発症を恐れてカラーすること自体をやめてしまうのは寂しいもの。白髪が気になる方もいらっしゃると思います。
Laughfulで使用しているオーガニックカラーはジアミン染料は含まれていますが、パラフェニレンジアミンは使用しておりません。(ジアミンアレルギーになってしまうリスクは大幅に抑えられています。)
ノンジアミンカラー、ヘアマニキュア、ヘナのご用意もございますので、頭皮の状態やこれまでのカラー履歴、症状等を元にしっかりとカウンセリングをしてカラーリングの種類を決めていきましょう。
カラーと上手に付き合っていくために
ピリピリとくる刺激は対策をすることはできますが、アレルギー性皮膚炎の場合は一度発症してしまうと治すことは困難です。特にパラフェニレンジアミンが原因のアレルギーの場合、アナフィラキシーショックの症状が起こることもあり、命の危険につながってしまうことも。
カラー後しばらく経って、軽い腫れぼったさや痒みを伴う場合は今後アレルギーになってしまう可能性があります。(もしくはもうアレルギー症状が出ている。)
「ちょっと頭皮荒れちゃったけど、もともと肌弱いし、カラーってこんなもんだよね」
そんな考えでカラーリングを続けてしまうのはとっても危険。
ジアミンアレルギーになりにくい処方のLaughfulのオーガニックカラーも、ジアミンアレルギーを発症してしまった方は使用できません。
また、一般にかぶれにくいとされる植物性染毛剤のヘナ製品も、パラフェニレンジアミンが含まれているものもあるので、選ぶときには注意が必要です。また、ノンジアミンカラーにしたからといって、アレルギーにならないとは限りません。ジアミン以外の化学物質が原因でアレルギーになってしまう可能性も0ではありません。
とはいえ、冒頭にもあるようにヘアカラーはお洒落の幅をグンと広げてくれる魔法のような施術。
その人の印象だって簡単に変えられるとってもすごい技術です。
求める髪色に対してアレルギーリスクを減らし、刺激を最低限に抑え、髪に残留物を残さない。
カラーリングのリスクを正しく理解して上手にお付き合いしていくことが大切です。
心配だという方はまずお気軽にご相談いただけたらと思います。