_2019.12.01_Akiko Narita
何度でも。いつまでも。ココロが踊る。|ニューヨークの美術館
私たちの美容室 Laughful(らふる)
そのコンセプトは「末長く楽しめる髪をあなたに」
目指すは創業100年。
100年以上続けていくには、お客様にとっても、お店にとっても、そして私たちが住まうこの地球にとっても
良いものでなくてはならない。
一生涯お洒落を楽しみ続けるためには何ができるかを常に問い、地球と人に優しく
それでいて日々が楽しくなるような髪をご提供することを核にサロンを運営しています。
ふっと視野を広げてみると
この世界には、いつまでも楽しめる魅力的なモノ、コト、トコロがあります。
- 長く使いたい
- 何度も通いたい
- 何度でも見たい
各個人どんなものに魅力を感じ、末長く楽しみたいと思うのかは異なり、その解釈は様々。
Laughfulスタッフが、末長く楽しみたいと思う魅力溢れるモノ、コト、トコロを勝手に紹介するシリーズです。
『何度でも。いつまでも。ココロが踊る。』
そんなモノ、コト、トコロが見つかるきっかけになったら嬉しいです。
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前回のブログに続き、成田が通い続けたい2つの美術館をご紹介。
今年の夏休みに1週間ニューヨークへ行ってきました。
【なぜニューヨークだったのか】
13年間美容師をしてきて、お客様から「髪型が褒められるようになったよ」とか「とても扱いやすかった」などとお声をいただくようになり、ようやくお客様に求められることに応えられてきているという実感を得られる機会が増えました。美容師としての一通りの仕事を覚え、リクエストに応えることができるようになったというスタート地点に立てたような手応え。
しかし、基本的なことができて、要望に応えることができるけれども…
「もっと自分からの提案で感動をあたえることはできないのか。」
圧倒的にインプットが足りていない感覚に陥り、日々模索をしていました。
そんな時に、ある本で目にした「アイディアは移動距離に比例する」という言葉を思い出し、日本から少し離れた場所で歴史的な建築やアートに触れてみようという思いで夏休みの旅先をニューヨークに決定。
日本でも、自分の感覚を磨きたいという理由から美術館やギャラリーに足を運んでいましたが、気がつけば自分が好きな展示や興味のある展示にしか行っていない。
大きな美術館に行き、好き嫌い問わずフラットな視点でアートに触れることで、自分が今まで信じていた感覚とは異なる要素を得ることができるのではないかという期待を抱いて向かいました。
今回行ってきたのは、大英博物館、ルーブル美術館と共に世界三大美術館の一つである「メトロポリタン美術館」。
「メトロポリタン美術館」
通称MET(メット)と呼ばれており、「メットガラ」というアメリカ版『Vogue』の編集長が主催者を務める、年に一度のファッションの祭典が行われている場所でもあります。
政府や王宮によって作られたのではなく、芸術を共有しようという強い意志を持った寄贈者による個人的に収集されたコレクションであり、創立以来変わらないとのこと。古今東西問わずあらゆる時代、地域、文明、技法による300万点以上の作品が所蔵されています。
展示数が多いため、観たい作品の場所を事前に受付にあるパンフレットで確認し、チケットについているシールを貼って美術館内へ。
【エジプト美術】
私が1番印象に残ったのは、エジプト美術のエリアにあるデンドゥール神殿。
紀元前15年頃に、ローマ皇帝アウグストゥスがヌビアの都市に建設した神殿で、ダム建設のために水没する運命だったヌビア遺跡のために、アメリカが多大な援助を行い、 そのお礼としてエジプトから寄贈されたものだそうです。
セントラルパークの緑を見ることができる開放感のある広いスペースにドドーンと神殿があります。
エジプトから運ばれてきたこの神殿のためにガラス張りの巨大な展示室を作り、ナイル川を表現するために館内に水をためて当時の船着き場を再現したりと、さまざまな工夫がされています。
中央には巫女の像が大切に展示されていました。
神殿に細かく描かれていた絵が何の絵なのか気になったけれど、それよりも何よりも巫女の像に釘付け。壮大な神殿と繊細な巫女の像のギャップが感動的でした。
光が差し込んでいて、そこだけが神聖な空間に感じ、鳥肌が立つほど美しかった。後光が差しているようでした。
【西洋絵画〜モネ〜】
モネが描く風景画が好きで、日本でもモネの展示があると聞くと必ず観に行き、色々な作品を観てきました。
メトロポリタン美術館内にもモネの絵を中心に西洋絵画だけを展示しているスペースがあります。
ピカソ、ゴッホ、フェルメールなども多く展示されていましたが、中でもモネの絵画は、初めて観るものがほとんどで、近くでゆっくりと1枚1枚の絵を堪能することができました。
たくさんの作品の中から、モネが描いた絵だと遠くからでもわかる色づかいや雰囲気。
やっぱりモネが好きと実感。
自分の好きという感覚はニューヨークでも変わりませんでした。
穏やかで優しいモネの内面を映し出すような絵を観て、モネにしか描けない絵があるように、
「私にしか切れないヘアスタイルとはなんだろう?」
と行く前にはない感覚を持つことができました。
美術館内は天井が高くとても開放感のある建物なので、作品を見るのはもちろん、建物の隅々の彫刻まで見応えがたっぷりありました。
歴史的な建築に、歴史的な作品の数々。
いつの時代に行っても色あせず新鮮で、自分自身が何歳の時に行っても心に響く作品に必ず出会えるだろうという印象があります。
変わらないものがあるこの場所は、一生のうちに何度も足を運び、自分の感性がどのように変化をしたのか…過去の自分、今の自分、未来の自分を振り返ったり想像してみたり作品を通して自分と向き合うきっかけになる。
何度も来ようと心に誓いました。
【noguchi museum】
イサム・ノグチの美術館である「noguchi museum」は、ニューヨークのクイーンズ区ロング・アイランドシティというエリアにあり、マンハッタンから少し離れているため電車とバスを乗り継いで行くことができます。
noguchi museumは、遠いところにある印象があったため、当初行く予定はありませんでした。
しかし、ニューヨークで数日過ごしていて、楽器や歌で自由に自己表現する人々や、好きなものについて熱く語る方と出会ううちに、子供の頃に感じていたような心の底からワクワクするような好奇心が湧き始め…
朝起きた瞬間に「そうだ、イサム・ノグチの美術館に行ってみよう」と、引き寄せられるように向かいました。
外観は赤いレンガと白のレンガで出来ていて、上から見ると三角形になっているようなとても不思議な形の建物。
入り口はとてもモダンでシンプルでかっこいい。
この建物は、1920年代に建てられた古い印刷工場とガソリンスタンドを改築したもので、当時イサム・ノグチのアトリエとして使われていたそうです。
その後、noguchi museumとして1985年に創設。存命作家が自身の作品を公開する目的で設立・デザイン・会場構成したアメリカ初の美術館。
石、鉄、木、セラミック、紙のドローイングや公共デザインのモデル、ステージ・セット、家具やあかり・光の彫刻など…イサム・ノグチのあらゆるジャンルの作品を見ることができました。
二階建ての美術館は窓が大きくて光が入る造りになっているため、作品と光のコントラストが美しく、作品を引き立てていました。
広いスペースに大胆に展示されているため、1つ1つの存在感に圧倒させられます。
私が心惹かれたのはこの作品。
透明感のある白となめらかな曲線、マットな質感が本当に美しかった。
musiumの中を何周もして、何度も何度も観たのにこの作品名を覚えてこなかったことが悔やまれます。
(誰か、分かる方がいらっしゃいましたらおしえていただけたらとても嬉しいです。)
日本の和室をイメージしたスペースがあり、畳やノグチの代表作である「AKARI」が展示されていました。
さらに、美術館内には中庭があり、そよ風を感じながら水の音や木々の葉っぱの擦れる音を聞きながらゆっくりと過ごすことができます。
ニューヨークにいることを一瞬忘れてしまうほど、日本庭園や禅をイメージすることのできる空間。
日本に帰国してからも、思い出すだけで心が穏やかになります。
イサム・ノグチさんの思いを五感で感じることができる美術館。
本当に行ってよかった。自分が今まで行った美術館で1番好きな場所となりました。
どちらの美術館も世界中からたくさんの人が訪れ、何度も足を運びたいと思う。
それは、作品自体が素晴らしいのはもちろん、その作品ができるまでの背景を感じることのできるような作者と美術館と訪れた人々との一体感。
そしてどこを見ても美しいと感じる空間。
何十年、何百年かけてたくさんの人の手を渡って大切に展示されている作品の数々は、時代を経てからも作者の思いをそのまま語り継いで、感動を与えているのだろうと強く感じました。
ニューヨークから帰国して決めたこと
人それぞれ好き嫌いはあっても、世界中の人が美しいと感じるバランスがあります。
髪型でいうと、世界中の人が見て美しいと感じるシルエットがあり、そこに自分だけが持つ感性をプラスして、さらにお客様に似合わせることができる。
これを美容師を続けていく上で追求しつづけようと決意しました。
お客様と向き合うこと、自分と向き合うこと、美しいものに五感を使って触れること。
とてもシンプルだけど、毎日の積み重ねと自分自身の意識がものすごく大事。
今までふわっと思っていたことでしたが、ニューヨークへの旅を通じて、私の原則はこれだなと確信に変わりました。
試行錯誤しながら、もっと自分の「好き」や「感覚」を大事にしてみよう。
そして何よりもカットをさせていただくことで、Laughfulに来てくれたお客様がお店を出た瞬間から、子供の頃に感じていたような心の底からワクワクするものであってほしいと願っています。