_2017.10.20_Laughful
そうだ、ワカメを食べよう|地球も体も喜ぶ海の邪魔者
ワカメ、最近食べましたか?
お味噌汁やサラダ、ご飯に混ぜたりと、日本人にとっては馴染み深い“ワカメ”が、なんと
「世界の侵略的外来種ワースト100」
に選ばれています。
さらに、2004年には国際海事機関(IMO)が、環境に顕著な悪影響を及ぼす水生生物10種の1つとして選びました。
特にニュージーランドでは指名手配(!)されているほどなのです。(見つけたら行政機関に報告するよう呼びかけがされている)
ワカメは海外では環境のバランスを崩す、害のある生物として認識されているというわけです。
実害として、増えてしまったワカメがカキ、ホタテ、ムール貝などの養殖魚介類の成長を阻害したり、漁業用の機械が詰まったりするなど、重大な影響を及ぼしているのです。
ワカメが世界へ拡散したのは、タンカーのバラスト水が原因だと言われています。バラスト水とは、タンカーなどの貨物船が積荷を降ろした後に、帰路で船を安定させるため重しとして入れる海水のこと。海水の中に含まれたワカメの胞子が、日本から世界へ広がってしまったのです。
そもそもわかめは、海水温度が20度以下で、波がなければ、容易に自生するという繁殖力を持っています。ワカメの唯一の天敵のウニは、繁殖力が弱くワカメと一緒に海外へ運ばれたとしても、ウニはそこで繁殖する可能性は低いのです。
そうなると
「敵なしで繁殖してしまう→外国ではワカメを食べないので、減ることもない。」
といった循環でどんどんわかめが増え、特に生態系や社会へ大きな悪影響を及ぼしています。
ワカメによって生態系が崩れ、野生の動植物間に何千万という全く新しい相互関係を生み出すと同時に、人間の健康や天然資源、さらには人間環境全体をも狂わしてしまいます。
そうだ、ワカメを食べよう。
ワカメは食物繊維やミネラルなどを豊富に含む、優れた食品です。
ヨウ素・マグネシウム・カリウムなどのミネラルが多く含まれており、骨を形成する作用、300種類の酵素の働きを助ける作用や交感神経を刺激し代謝を促す効果もあります。
具体的には
・ | 血中コレステロール値を下げる。 |
・ | 血液をさらさらにする。 |
・ | 排泄を促進する。 |
・ | 動脈硬化を防ぐ。 |
・ | 脳卒中や心筋梗塞を防ぐ。 |
などの効果が期待されます。
そしてワカメ最大の特徴は注目の栄養成分フコイダンが豊富に含まれているのです。
フコイダンとは、海藻が自らの身を守るために保持しているネバネバ成分で、わかめやもずくなどにも多く含まれています。
フコイダンは、NK細胞(がん細胞や腫瘍細胞などを発見し、攻撃する免疫システム)を活性化する働きがあり、免疫力の向上、がんの予防効果などが期待されています。
さらにワカメに含まれる「フコキサンチン」という成分は、コラーゲンを分解してしまう憎っくき酵素「コラゲナーゼ」の活性を阻害する効果があることがわかっています。
この効果はコラーゲンだけではありません。「フコキサンチン」は、ヒアルロン酸を分解する酵素「ヒアルロニダーゼ」、エラスチンを分解する酵素「エラスターゼ」の活性をも阻害する効果があり、プリ肌を作る土台を守ってくれるのです。
なんと「フコキサンチン」には、真皮層に存在するコラーゲンの生みの親「線維芽細胞」におけるコラーゲンの生産を促進させるとのこと! なんとも頼もしい食材です。
ワカメを食べると髪が増える???
様々な効果が期待できるワカメですが、
たくさん食べると、髪の毛が増えるとか早く伸びるとか、髪の毛がサラサラになるとか
聞いたことありませんか?
ワカメに限らず、昆布とか、海藻類って、髪にいい食べ物とされています。
ではワカメなどの海藻類をたくさん食べれば、髪はフサフサ・サラサラになるのでしょうか??
答えは、NOなのです。
髪の毛を作るときには、いろいろな酵素が働きます。
その時、鉄や胴、亜鉛などのミネラルがないと酵素が働きません。
そしてこのミネラルが豊富に含まれているのが、ワカメをはじめとする海藻なのです。
海藻類をたくさん食べると、髪の毛が生えてくる、発毛効果が得られるというのは
医学的には、根拠がありません。
海藻類は、各種ミネラル、食物繊維を多く含んでいるので
健康を保つために、必要な食べ物です。
ただ、髪の毛の主成分はタンパク質です。
髪の毛は、爪と同じケラチンというタンパク質でできていて、そのケラチンを作るのにはアミノ酸が必要です。
つまり、海藻類と、納豆、豆腐、鶏肉、サバ、鮭などのタンパク質を食べることが
大切なのです。
とにかくなんでもバランスよく食べるのが一番ですね。
ワカメを育てて食べて、海をキレイに。
ワカメが不要に海外に流出することで、世界規模での生態系バランスの崩れが生じていると述べました。しかし、日本では、ワカメは海をキレイにしてくれる生物として見直されています。
海中の窒素やリンといった栄養塩が増えると赤潮や青潮などの原因になりますが、その余分な栄養塩をワカメが吸収してくれるのです。
横浜では実際にワカメを育て、それを回収し美味しく食べながら環境問題について学ぶワークショップも開催されています。
数cmの小さなワカメの種糸と自分で作った名札を付けて「Myワカメ」として海に沈めて育てると、なんと約2か月で2~3mに生長。
そのワカメを回収して、その総重量から回収した窒素とリンの量を算出、みんなでどれくらい海をきれいにできたのかを確認しながら、環境について学び、最後は美味しく食べることができます。
世界の脅威にも、海をキレイにしてくれる救世主にもなりうるワカメ。
美味しく食べて、体も海もキレイになれると良いですね。
スーパーで見かけたらこの記事をちょっとでも思い出して、ぜひ晩御飯の名脇役として添えてみてください。
※わかめに含まれる「ヨウ素」は体にとって良いものですが、過剰摂取してしまうと逆に悪影響を及ぼす原因になってしまいます。
わかめはおいしく適量を♪